身動きの取れない今年の初夏、衝動に駆られて一冊の写真集を制作した。得体の知れないウィルス。河川では洪水が多発し、北の国では氷が溶け続けているニュースが連日流れていた。宇宙の遠い惑星までたどり着く知能と行動力も持っているはずの人類が、環境の問題に対して先送りばかりしているのはなぜだろうか。『111 l』は、梅雨のやまない雨を眺めながら、私たちの未来の地球について想像しつつ自ら制作を手がけて生まれた1冊だ。
今年2月個展のトークイベントでお招きした中谷宇吉郎雪の科学館の現館長である古川先生から、宇宙のとある惑星の大気中に水蒸気の存在が確認されたことを聞き「もしかしたら宇宙でも雪が降るかもしれない」という可能性にたどり着いた。その現実ともフィクションとも取れる想像の物語に端を発し、写真集では花火や雪、氷などの抽象的な写真が散りばめられている。
この写真はその写真集の中から選んだ10枚になる。