かつて宗教とアートは渾然一体となり人と関わってきた。
人は畏怖を忘れ神は居なくなり、アートだけが残された。
たった70年で戦勝国が崩壊し始め、政治も経済も道を見失った。
今は正に暗黒の時代。
「よもの海 なみはらからと思ふ世に など波風のたちさわぐらむ」
明治天皇 御製
暗黒の世界を照らすのは月。
月の光に浮かび上がるモノクロの世界。
モノクロは日本古来からの水墨画とも共通する。
もしかすると、世界が暗黒となったのは今に始まった事では
無いのかもしれない。
いや、人類はそうした中で希望の光を見続けた。
「天上影は変わらねど 栄枯は移る世の姿
映さんとてか今も尚 ああ荒城の夜半の月」
荒城の月 四番
万物に神は宿る。
それは時に海であり、川であり、山であり
また時には岩や石、そして木でもあった。
その岩や石を砕き岩絵具とし、木から作った
紙に絵を描く日本画。
その行為は、正に神に寄り添うという事だった。
「芸術とは自然をありのままに提示するのでは無
く自然を通した暗示でなければならない。」
岡倉 天心 (美術思想家)
明治維新とともに押し寄せた西洋美術の波。
それに対し、天心が説いた伝統的日本画の世界。
それは西洋画とは一線を画す、空間の美。
何故なのか理由は解らない。
ただ、そこに何かを感じる。
それを探し続けている。